ニュースリリース

世界初、筐体ダイレクト印刷配線で実用レベル達成
独自の銀塩インクで低温80℃焼成技術を開発

2013年11月19日

情報管理ソリューションのトッパン・フォームズ株式会社(以下、トッパンフォームズ)は、80℃の低温で焼成して回路を形成できる印刷用インク(銀塩インク)および印刷・焼成技術で実用レベルの開発に成功しました。80℃で3分間焼成することで6μΩ・cm(マイクロオームセンチメートル)以下と、高い導電性能を安定的に実現します。さらに高温条件で焼成を行えば3μΩ・cm以下と、より低い抵抗値の配線も可能です。これにより、ポリカーボネート系樹脂をはじめとする電子機器の筐体に使用されているほぼすべての樹脂材料への配線をダイレクト印刷で行えるようになりました。立体の曲面や段差面への印刷を可能とする印刷技術と組み合わせることで、これまで実現し得なかった部分への配線もできることから、高機能化に伴いアンテナスペースの確保が課題となっているモバイル機器への応用に有効と考えています。当社は2009年に100℃で焼成する銀塩インクを大阪大学産業科学研究所の菅沼克昭教授と共同開発しました。今回、インク処方ならびに回路パターン作製プロセスなどで改良を加え、さらなる低温での焼成を実現しました。また、信頼性試験(85℃、85%RHの環境下に長時間放置して行う試験)もクリアしています。こうした、低温焼成で低抵抗を実現し、高い信頼性を持つアンテナ性能を印刷プロセスのみで実現したのは世界で初めてです。なお、80℃で焼成するインクについては特許出願済みです。

RH(relative humidity:相対湿度)=ある気温における大気の飽和水蒸気量を100とする比率

筺体ダイレクト印刷配線のイメージ

開発の背景

年々、スマートフォンなどのモバイル機器では機器の高性能化・小型化・軽量化へのニーズが高まっています。一方で搭載される機能の増加に伴い、アンテナ数も次第に増加し、モバイル機器内の高密度化、アンテナ部品の小型化などが必要となっています。通常はフレキシブル配線板を利用したアンテナを使用しますが、立体面へのフィット性に欠けます。同様に、筺体材料へ事前に導電物質を添加し、レーザー照射およびメッキを行う方法では、筺体材料の制限やコスト面、環境面に問題があります。当社では、これらの問題を解決するために、立体曲面である筐体上に印刷で直接配線を形成するための低温焼成インクおよび印刷プロセス技術の開発を進めてきました。

特長

  1. 銀塩インクを使った高性能なアンテナを低温80℃で乾燥・焼成することで電子機器に使用される幅広い筐体材料への印刷配線が可能。
  2. 従来の印刷配線に比べて配線抵抗が低く、配線膜厚も薄くできるので、少ない材料使用量で高い性能を実現可能。
  3. 筐体にアンテナを直接印刷することで配線スペース効率が向上し、電子機器の小型化・軽量化に貢献できる。
  4. 低抵抗値のアンテナを形成できるので、衛星利用測位システム(GPS)や無線LANなどの高周波アンテナとしても利用できる。

今後の展望

トッパンフォームズでは継続してプリンテッドエレクトロニクス分野の研究開発を進め、モバイル機器や近距離無線通信(NFC)アンテナなどの分野での用途開発・製品化ならびに事業推進のための提携についても積極的に進めていきます。

以上

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TOPPANエッジ株式会社

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